データベーススペシャリスト試験 合格体験記

エンジニア

2024年10月に「データベーススペシャリスト試験」を受験し、合格しましたので、合格体験記みたいなものを書いてみました!
(勤務先の社内SNSに投稿した内容を少し調整したものです。)

データベーススペシャリスト試験とは

データベーススペシャリスト試験は、IPAが実施する高度情報処理技術者試験(高度試験)の1つです。
IPAのサイト には、「企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適」と記載されています。

また、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で平匡さんが保有していた資格の1つでもあります!笑

「データベーススペシャリスト試験」という名前は少し長いので、以下では「DB試験」と略させていただきます。

📅 試験の日程

試験は年1回、毎年10月に実施されています。
合格発表は12月下旬で、試験日からおよそ2か月半後となります。

📝 試験の形式

試験は、午前I、午前II、午後I、午後IIの4つに分かれています。
午前I・IIが選択式(マークシート)、午後I・IIが記述式(※ 論述式ではありません。)の試験となっています。

午前・午後の4つの試験すべてで60%以上の点をとることで合格になります。
他の高度試験(情報処理安全確保支援士試験を含む)の午前I試験や応用情報技術者試験に合格してから2年以内であれば、申請をすれば午前I試験が免除されます。
高度試験には午後II試験が「論述式」(「800字以上、1,600字以内」のようなボリューム)のものが多いですが、DB試験は「論述式」ではなく「記述式」(数十字のボリューム)なので、比較的対策しやすいと言えるかと思います。

今回(令和6年度)の合格率は17.2%でした。
過去最高の合格率だった昨年度(令和5年度)の18.5%から少し低くなっていますが、令和4年度の17.6%や令和3年度の17.1%と同じくらいだったと言えそうです。

出題の内容

実際に問題をご覧になりたい方は、こちらをどうぞ:令和6年秋期試験問題 https://www.db-siken.com/kakomon/06_aki/

午前I(50分・四肢択一・30問)

  • 同日に実施される応用情報の午前問題から30問が抜粋されて出題されるようです。
  • 出題範囲が非常に広く、応用情報の出題範囲全分野からまんべんなく出題されるようです。

午前II(40分・四肢択一・25問)

  • 約8割がデータベース関連の問題で、残りが別の分野からの出題となります。
  • 試験要綱(Ver. 5.3)の p.22〔試験区分別出題分野一覧表〕にあるように、出題分野は応用情報より絞られています。(マネジメント系・ストラテジ系は含まれず、テクノロジ系の一部のみが対象となっています。)
  • 出題分野ごとの技術レベルは、「データベース」と「セキュリティ」がレベル4(応用情報より1つ上のレベル)、「コンピュータ構成要素」「システム構成要素」「システム開発技術」「ソフトウェア開発管理技術」がレベル3(応用情報と同じレベル)となっています。
  • 応用情報等と同様に、過去問からの流用も多い傾向です。

午後I(90分・記述式・3問中2問選択)

  • 「概念データモデリング」や「データベースの実装・運用」、「データベースの物理設計」などのテーマで大問が3つ出題され、その中から2つを選択して解答します。
  • 例えば、「概念データモデリング」の問題では、未完成のE-R図に線(リレーション)を加える問題や、関係スキーマ(テーブル構造のようなもの)におけるテーブル名・カラム名の穴埋め問題が定番です。
  • 私が受験した令和6年度は、午後Iの「問1」が「概念データモデリング」、「問2」が「データベース実装」、「問3」が「データベース物理設計・SQL設計・性能」の問題でした。

午後II(120分・記述式・2問中1問選択)

  • 午後Iと似たような問題ですが、午後Iよりボリューミーな大問になったものが2つ出題され、その中から1つを選択して解答します。
  • 私が受験した令和6年度は、午後IIの「問2」が「概念データモデリング」の問題で、午後Iのところに書いたようなE-R図の問題や関係スキーマの穴埋め問題が出題されました。「問1」は「データベースの実装・運用」の問題でした。

受験の動機

2023年度秋期の応用情報に合格したことで、「次は高度試験に挑戦しよう!」という気持ちが芽生えました。
ちょうどその頃、ECサイトの運用業務に携わるようになり、SQLを書く機会が増え、データベースに対する関心が高まりました。
「せっかくなら、午前Iの免除があるうちに」と思い、DB試験を受けることを決めました。

余談

きれいに書くと上記のようになりますが、あとは、セキュリティとかネットワークとかは苦手意識があるので、消去法的にもDB試験になった、という面もあります。。。

さらに余談

エンジニア2年目の頃、応用情報を受ける前でしたが、部長から「エンジニア5年目までに高度試験どれか1つ取得できるといいね」という話をされたことがあり、応用情報を受ける/受けた頃から、ちょっとだけ高度試験のことを意識はしていました。

2023年度秋期の応用情報の午後問題ではデータベースの問題も選択・解答したのですが、それが割と解きやすい回だったようで、おそらく満点を取れておりまして、「もしかしてデータベース結構いけるのでは??」みたいな甘く楽観的な思いを抱いていた時期もありました。笑

そして、ECサイトの運用業務に携わるようになりSQLを触ることが増えたのもあって、高度試験受けるならDBかな、という気持ちが強まっていった、という感じです。

🛠️ 行った対策

テキスト:『情報処理教科書 データベーススペシャリスト』

  • 過去問道場の管理人さんが推薦されていた ので、これにしました。
  • 合格のための戦略も詳しく書かれており、問題の解説も丁寧で、とてもよかったと思います。他のテキストの電子版も少し覗いてみましたが、解説の量が段違いだなと感じました。
  • Webサイトからは、過去22年の全試験問題と解答・解説に加えて、「過去問の解答用紙」もダウンロードできるので、過去問の演習にも困らないかと思います。
  • 2025年度版のテキストはこちらですね:

午前I対策

  • 今回は上述の免除制度を利用したので午前Iを受けていませんが、応用情報を受験した際は 過去問道場 で勉強していました。
  • 午前Iは出題範囲がとても広いので、免除制度を活用するのがおすすめです。
  • 午前Iが免除されると、試験会場の集合時間が遅くなるため、当日朝に少し余裕が生まれます。☕

午前II対策

  • 上記テキストで知識をインプットしつつ「過去問道場 + ChatGPT」で対策しました。
  • DB試験の過去問道場は、課金(490円/月;年額払いだと2,480円)しないと解説が表示されませんが、十分にその価値があると思います。
    • 過去問道場の問題を全て解いても問題数はそんなに多くなく、まずは過去問道場を1周解き切ることを目指しました。それで間違えた問題を重点的に復習していくのがよいかと思います。
  • 道場の解説を読んでも理解しきれなかった問題は、ChatGPTに聞くようにしていました。
    • 誤りやハルシネーションには注意が必要かと思いますが、分からない箇所をピンポイントで分かるまで教えてくれますし、励ましの言葉をかけてくれたりもします。笑
    • ChatGPT先生に解説してもらった後、「~~~ってことで合ってますか?」のように聞き返すことで、知識の整理をしつつ即時フィードバックを受けることができ、インプットとアウトプットを同時に進められるのがよかったです。
      • さらに、「その理解でバッチリです!🎉」などと褒めてくれるので、モチベーション維持にも効果ありです!
      • 「分かった気」になること自体が学習を楽しくする要素になることを改めて実感しました。

午後I・午後II対策

  • テキストに書いてある戦略を参考にしつつ、過去問を解きました。
  • 問題や解答用紙を紙に印刷するのは大変なので、PCに問題を表示させながらiPadで解答用紙を開き、iPad上に(Apple Pencil や Apple Pencilもどき で)記入する形で進めました。
    • 直前期に1回分だけコンビニで問題用紙と解答用紙を印刷して、実際に紙に解答する練習をしました。シャーペンで字を書くことのリハビリにもなったと思います。。😇
  • DB試験には、下線付きの文字で解答する問題や、E-R図の中に線を追加する問題が多く出題されますが、いずれにも定規は使いませんでした。(丁寧に線を引いている時間的・精神的な余裕がありませんでした(汗))
    • でも、いつどのように役に立つか分からないので、万が一のために定規も持っていくのが安心かと思います。
    • ネット上には、「緊張で手が震えるので定規を使った」や「フローチャート定規が便利」といったコメントも見られます。
  • 午後Iは、解答すべき問題(自分が点を取りやすい問題)を見極めるのも含めて90分で終わらせなければなりません。問題のリード文や図表の見た目などから素早くどの問題を選択するかを判断する力も、過去問演習を通じて鍛えておくといいかもしれません。
  • 午後IIは問題文の文章量が多いので、過去問演習を通して効率的に読み取れるようにしておく必要があります。
  • ちなみに、午後IIについては、私個人的には「概念データモデリング」の問題に的を絞って対策するのがおすすめです(定番の問題があるので対策しやすいと思います)。

業務での経験が役に立った点

  • 業務でデータベースに触れる機会(特に、JOINを使ったSQLを書く機会)が多く、テーブル同士の関係性を考える習慣がついていたのは、午前・午後両方の試験に大いに役立ちました。
  • 例えば、DB試験では「注文テーブルと注文明細テーブルの関係」のような「〇〇明細」の概念がよく登場しますが、日々の業務でこのようなテーブルの関係性を意識しながらSQLを書いていた経験が、問題の意図を素早く理解することに繋がったと思います。
  • また、午後I・IIの「概念データモデリング」の問題では、受注・出荷・発注などの業務に関わる知識があると問題が読み取りやすくなります。ECサイトの運用業務を通じて、なんとなくそのあたりのテーブル構造などの雰囲気に触れていたのも、今回の受験に活きたと感じています。

🎯 試験を終えて

今回は午後問題の対策が追いついていなかったのですが、試験の1.5か月くらい前までに午前対策をあらかた仕上げておき、そこから午後問題の対策に注力する、のようなスケジュールでできるとよいのではないかと思いました。
受験後、午後Iの選択していない大問(問3)を解いてみたところ、選択した大問(問2)より解けた気がしました。。午後Iの出来は非常に危ないラインだと思っていたので、チョイスを誤ったな…という後悔は結構大きかったです。
結果的には合格することができホッとしておりますが、「どの大問を選択するか」をスピーディーに見極める力も大事だなと痛感しました。

以上となります。お読みいただきありがとうございました!
これからDB試験を受ける方や高度試験の受験を検討されている方の参考になれば幸いです!

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