こんにちは。さっしみーです。
みなさんは,普段,文を書いていますか?
Twitterに投稿するための日記を書いたり,仕事についてのメールを書いたり,家族に送るLINEのメッセージを書いたり,などなど…。
そう考えると,文を書く機会って,意外とあるものですね。
書くからには,自分の思っていることを正しく相手に伝えることができる文を書きたいですよね。
私も常々そのように思っています。
そこで(?),私が文を書くときに考えていることを皆さまにも共有したいなと思います。
私の考え方が絶対正しいのだと主張しているわけではなく,ただの自己満足として,文の書き方を記事にしてみたいなと思ったので,書かせていただく次第です。
その方法として,Wikipediaに掲載されていた文を例に挙げて,僭越ながら,添削的なことをしてみようと思います。
(現在は文章が書き換わっており,もう掲載されていないため,「掲載されていた文」と表現しています。)
今回取り上げるのは,次の文です。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は日本の音楽ユニット・ZARDが、生前最期に行われた唯一の全国ツアーである。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=What_a_beautiful_moment_Tour&oldid=79917947
えっ,1文だけ!? と思いましたか???
私はちょっと思いました。
でも,この短い1文についてだけでも,書いてみると結構長くなったので,今回はこの1文だけにフォーカスを当てることにします。
ちなみに,この文は,「What a beautiful moment Tour – Wikipedia」の2020年10月10日(土)14時58分(日本時間)時点の版の1文目(記事の最初の1文)です。
なお,もとの文を書かれたかた(複数人の編集によってできた文かもしれませんが)の人格を否定する意図は全くございません。ご理解のほど,よろしくお願いいたします。🙇
文を書き換えてみよう!
では,さっそく,検討していきましょう。再掲です:
『ZARD What a beautiful moment Tour』は日本の音楽ユニット・ZARDが、生前最期に行われた唯一の全国ツアーである。
この文の主語は「『ZARD What a beautiful moment Tour』は」,述語(述部)は「日本の音楽ユニット・ZARDが、生前最期に行われた唯一の全国ツアーである。」ですね。
ここで,文の意味を考える前に,読点の位置が不自然であることに気がつきます。読点の位置について,明確な基準のようなものはないかもしれませんが,今回は主語の直後に置くとよいでしょう。すると,こうなります:
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが生前最期に行われた唯一の全国ツアーである。
次に,述語(述部)に注目します。
(日本の音楽ユニット・ZARDが生前最期に行われた)唯一の全国ツアー
だそうです。丸括弧で囲った部分が「唯一の全国ツアー」を修飾していますね。
丸括弧の中に違和感があります。
日本の音楽ユニット・ZARDが生前最期に行われた
「ZARDが行われた」とは,どういう意味でしょうか。
私は2つの可能性があると考えました。
- 「ZARDが行った」を,誤って受け身の形で「ZARDが行われた」と書いてしまった。
- 「ZARDが行った」の「行う」に,尊敬の助動詞「れる」を付けた。
1の場合,主語と述語が対応しなくなっていますね。「ZARDが行った」に直すとよいでしょう。
2の場合,文としては意味が通じます。しかし,百科事典であるWikipediaの文として,敬語を用いることは不自然だと言えるので,やはり「ZARDが行った」にするとよいでしょう。
〔参考:Wikipediaの「Wikipedia:ガイドブック 編集方針」の #本文 の節に,『文章は敬語を使わない「常体」(普通体、「だ・である」体)で統一します。』と書いてあります。〕
〔2024年5月15日追記:上記ガイドブックの文は,「常体で,(かつ)敬語を使わずに」という意味なのか,「敬語を使わないで,つまり常体で」という意味なのか分からないですね。後者かもしれないとも思いました。そう考えると,「敬語を用いることは不自然だ」の根拠として上記ガイドブックの記述を上げるのは適切ではないかもしれませんね。🙇(余談:なんか,(ちょっと違う話なのかもしれませんが,)高校時代の英語でやった「関係代名詞の制限用法と非制限用法」みたいなものを思い出しました。笑)〕
ということで,結局,次のようになります。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが生前最期に行った唯一の全国ツアーである。
だいぶよくなったと思います。ここで,もうひと押し。
「生前」とは,誰の「生前」なのでしょうか。
文からの情報だけを頼りにすると「ZARDの生前…?」と思ってしまうかもしれませんが,この文に書いてあるとおり,「ZARD」は音楽ユニットであり,「ZARDの生前」というのは少し不自然です。
「ZARDのボーカルである坂井泉水さんの生前」という意味ですから,「坂井泉水の生前」であることを明示的に書いたほうが親切でしょう。
(坂井さんがZARDそのものと言っても過言ではないくらいの存在であったことを否定するものではありません。百科事典の記述として,前提知識のない人にも誤解なく伝わるようにするうえで,そのようにしたほうがよいのではないか,と考えているだけです。🙇)
文の形を変えずに「ZARDのボーカル・坂井泉水さんの生前」であることを明示的に書くとすると,次のようになるでしょうか。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが、ボーカルである坂井泉水の生前最期に行った唯一の全国ツアーである。
おっと,ここまで見逃していましたが,「生前最期に行った」はおかしいですね。
坂井さんが亡くなる直前にツアーが行われたわけではないので,「最期」ではなく,「最後」を使うべきでしょう。
(ツアーが行われたのが2004年,坂井さんが亡くなったのが2007年です。)
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが、ボーカルである坂井泉水の生前最後に行った唯一の全国ツアーである。
そして,落ち着いて考えると,次の部分に少し違和感を持ちました。
生前最後に行った唯一の全国ツアー
「唯一の全国ツアー」と言っているので,わざわざ「最後」という言葉を付けなくてもいい(付けないほうがいい)ような気がしてきます。
(「最後」と言うと,「いくつかあるうちの一番後のもの」というニュアンスが出る気がして,「唯一」という言葉と少し衝突してしまうかなと思いました。)
ということで,ここまでの内容をまとめると,次のようになります。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが、ボーカルである坂井泉水の生前に行った唯一の全国ツアーである。
これでもよいのですが,主述が入れ子のようになっているため,2文に分けることを検討してみます。
とりあえず,
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが行った全国ツアーである。ボーカルである坂井泉水の生前に行った唯一の全国ツアーである。
という2文に分けてみました。
でも,このままだと,「全国ツアーである。」が続いているせいか,2文に分けた恩恵があまり感じられないですよね。
そこで,2文目を少し書き換えてみます。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが行った全国ツアーである。ボーカル坂井泉水の生前に行われた唯一の全国ツアーとなった。
ちょっと自然な文章になったように感じられます。
そして,もうひと押し。
「行った」は「おこなった」と読んでもらいたいところですが,文脈を考えなければ「いった」とも読めてしまいます。
そこで,他の動詞に言い換えられないかな,と考えてみました。
今回は「開催した」がちょうどよさそうだなという結論に至りました。これなら誤読される心配もないので,安心して使うことができます。
2文目の「行われた」も,それに合うように「開催された」にすると,次のようになります。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが開催した全国ツアーである。ボーカル坂井泉水の生前に開催された唯一の全国ツアーとなった。
ほぼ完璧でしょう。
実際には,1文目に「2004年に開催された」という情報を追加して,次のように書き換えてみました。
『ZARD What a beautiful moment Tour』は、日本の音楽ユニット・ZARDが2004年に開催した全国ツアーである。ボーカル坂井泉水の生前に開催された唯一の全国ツアーとなった。
はい,今日はここまで!
(欲を言えば,2文目の「ボーカル」と「坂井泉水」の間に何かしらを入れたくなる気もしますが,,,今回はこれでよしということにさせてください!🙏)
(あと,2文目の最後は「となった」でいいのか,「となっている」がいいのか,「である」がいいのか…というのは,ちょっと自信がありません💦)
おわりに
お読みいただき,ありがとうございました!
偉そうな口調で語ってしまったので,読んでいて不快になったかたもいらっしゃるかと思います。
恐れ入ります。🙇
また,もとの文を書かれたかた(複数人の編集によって出来上がった文かもしれませんが)の人格を否定する意図はないことをご理解いただけますと幸いです。
「ここはこうしたほうがいいのでは」と思ったことを集めた,ただの自己満足の記事ではあるのですが,ひとりでも共感してくださるかたがいらっしゃれば嬉しいなと思っています。
文に対する違和感の持ち方って,人それぞれなのかなとも思いますので,一概にどの考え方が正しいなどとは言えないかもしれませんが,現在の私の考え方は今回の記事のようなかんじです。
よりよい文章が書けるよう,今後も精進していきたいと思います。
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それでは,このへんで失礼します。最後までお読みいただき,ありがとうございました!
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